| 2019年5月21日 | 心と潜在意識 |

親や周囲の人間の期待に応えようと、無理をして適応していくうちに作り上げてしまう「偽物の自分」。心理学ではこれを「擬似自己(ぎじじこ)」と呼びます。
この擬似自己の状態で生きている人は、周囲に合わせるために自らの本音や欲求をパツンと断線させてしまっているため、本来の自分が何者なのかを見失っています。
では、抑え込まれ、置き去りにされてしまった「本当の自己」と再びつながるには、一体どのようにすればいいのでしょうか。
『自分はなにを喜びとしているのかを見る能力を取り戻すことが、踏みにじられている自己を再発見する最善の方法である』
つまり、自分の心が「何に喜びを感じているのか」をキャッチする感性を取り戻すこと。これこそが、本当の自分を救い出す確実な一歩なのです。
【1. 心の「喜びセンサー」を育てる問いかけ】
まずは一度、日々の忙しさから離れて静かな時間を確保し、自分の心にこんな問いを投げかけてみてください。
・「自分の心が一番喜ぶのは、どんなときだろう?」
・「最近、何にワクワクしただろう?」
・「理屈抜きで好きなこと、惹かれるものは何だろう?」
・「何をやっているときに、時間を忘れて楽しいと感じるだろう?」
すぐに明確な答えが見つからなくても、全く焦る必要はありません。大切なのは、「自分に問いかけ続けること」。その行為自体が、眠っていた心の喜びセンサーを刺激し、じわじわと育て始めるきっかけになります。
もし今の自分が分からなくなっているなら、「子どものころの自分」にヒントを探しに行ってみるのもおすすめです。
・「子どものころ、時間を忘れて熱中した遊びは何だっただろう?」
・「誰に褒められなくても好きだったことは何だろう?」
社会的価値があるかどうか、大人として恥ずかしくないかどうかは一切関係ありません。かりにそれが子どもじみたことであっても、あなたの心が温かくなったり、喜びを感じたりすること自体に、何にも代えがたい絶対的な価値があるのです。
【2. 「楽しむこと」への罪悪感を解除する】
「自分だけ楽しんではいけません」
「好きなことばかりしていないで、もっと頑張りなさい」
幼少期にこのようなメッセージを大量に浴びて育った人は、大人になっても、自分がただ楽しむことや好きなことに時間を費やすことに強い「罪悪感」を抱きがちです。
もしそのブレーキがかかるなら、自分自身に「許可」のメッセージを繰り返し刷り込んであげてください。
『私は、私の好きなことを思いっきり楽しんでいいんだよ』
そうやって、過去の呪縛から自分の心を解放してあげるのです。
【3. 喜びが育つための「安全なスペース」を創る】
一方で、「どれだけ時間をかけて探しても、好きなことも喜びも本当に何も見つからない」という人もいます。
そういう方は、過去に「嫌だ」という拒絶のメッセージを周囲に尊重してもらえなかったり、理不尽な環境に対して「ノー」と言えずに我慢し続けて育ってきたケースがほとんどです。
人間は、嫌なことに対して勇気を持って「ノー」と言うことで、自分と相手との間に健全な「境界線」を引きます。
この境界線がハッキリしているほど、その内側にある自分のプライベートな心の空間は、誰にも脅かされない「安全で安心できるスペース」になります。そして、この安全なスペースがあって初めて、人の心には「喜び」や「好き」というピュアな感情が育ち始めるのです。
安心なスペースを創るために、まずは以下のステップで「ノー」を言う練習を始めましょう。
●ステップ1:自分の我慢に気づく
「日頃から無理をして相手に合わせていることはないか?」「できれば断りたいのに、引き受けていることはないか?」を洗い出す。
●ステップ2:自分だけの「防衛ルール」を決める
「ここまでは受け入れるが、これを超えたらノーを言う」という基準を定め、最初はハードルを低く、今の自分が絶対に守れる具体的なルールを決めます。
(今日からできる「ノー」の境界線ルール参考例)
1. メールアドレスやLINEは、本当に親しい人にしか教えない。
2. 気乗りしない誘いは、その場で返事を変に濁さず、後でメッセージで丁寧に断る。
3. 気乗りしない誘いは、迷う時間をなくすため、その場ですぐに断る。
4. 断るときに嘘の理由を並べ立てず、「あいにくその日は気乗りしないのです」と正直に伝える。
5. どうしても罪悪感があるなら、どんな理由をつけてでも、とにかく断る。
6. 自分をすり減らす特定の「◯◯さん」からの頼みごとは、今後は一切引き受けない。
7. 夜22時以降はスマホの通知をオフにし、電話には絶対に出ない。
8. 自分の部屋には、たとえ家族であっても勝手に入らせない。
これらはあくまで一例です。大切なのは、あなたにとって無理がなく、今の自分の心を最も守ってくれる「しっくりくるルール」を1つ選んで実践すること。
他人の期待に応えるだけの人生は、もう終わりにしましょう。あなたが「ノー」と言って自分を守り、心の安全なスペースを取り戻したとき、そこにはあなた本来のみずみずしい喜びと、「本当の自分」が必ず姿を現します。














