男女のコミュニケーションの差

2019年7月9日 心と潜在意識

 

カップルたちが口にする、最も普遍的で深い欲求不満の一つに、こんな言葉があります。

「私たちは、コミュニケーションがあまりうまくいっていない」

この「うまくいかない」という短い言葉の裏には、実はいくつもの切ない誤解が隠されています。

一般的に私たちは、相手のちょっとした反応や、あるいは「反応のなさ」を見て、「どうせ自分が言いたいことは受け入れられていない」「聞いてくれさえしない」と、瞬時に絶望的な結論を導き出しがちです。

しかし、私たちは往々にして、「相手が本当に何と言おうとしているのか」を丁寧にチェックすることもせず、自分の脳内で勝手に判決を下してしまっているのではないでしょうか。

そのネガティブな推測が正しいとは限らないのに、あるいはそんな事実すらないかもしれないのに、すぐに「相手が悪い」「自分がダメなんだ」と白黒をつけてしまう。その結果、最初に伝えたかったはずの純粋なメッセージはどこかへ消え去り、あとに残るのは険悪な空気だけです。

このようなすれ違いの積み重ねは、二人の間に不要な緊張や自己防衛、苛立ちを招き、最終的には心を閉ざして「沈黙の引きこもり」へと繋がっていきます。

さらに深刻なのは、二人の間にまったく会話がなくなるか、形だけの会話しか機能しなくなるケースです。その結果、少なくともどちらか片方が、胸が張り裂けそうなほどの欲求不満や怒り、悲しみ、そして深い寂しさを一人で抱え込むことになります。

これは特に、結婚している女性にしばしば見受けられる現実です。

共同生活において、こうした日常の食い違いが起きること自体はごく普通であり、多くの人はそれに順応しながら暮らしています。しかし、これが毎日のように頻発したり、明確な理由もないのに不穏な空気が続くようになると、それは二人の関係を引き裂く重大なSOSサインとなります。

このように、夫婦でありながら心が通わない「コミュニケーションの飢餓状態」は、大きな問題です。

これに対して、日本の社会では、昔から「以心伝心」や「阿吽の呼吸」などという都合の良い言葉が賛美される傾向があります。

「俺とお前の仲なんだから、いちいち言葉にしなくてもわかるだろう」

そう言われても、やはり私たちは神様ではないので、口に出してくれなければ絶対にわかりません。

きちんと相手の心に届ける努力も放棄しておきながら、「どうして相手はわかってくれないんだ!」と一人で腹を立てるのは、そもそも前提が大いにお間違えなのです。

結婚生活を美しく機能させる最大のポイントは、「相手の話をよく聞くこと」です。しかしここで立ちはだかるのが、男女間のコミュニケーション方法にある「決定的な構造の差」です。

例えば、あるテーマについて彼と二人で話し始めたとします。

そのうち、話が別の話題に飛び、さらにその両方をほったらかしたまま、全く関係のない第三の話が始まり、最終的に一番最初のテーマに奇跡的に戻ってくる――。

こうした「螺旋型」のトーク展開は、女性にとっては脳の標準装備であり、何でもない日常の風景です。しかし、これを横で聞いている男性にとっては、文字通り「気が狂いそうになる」ほどの混沌(カオス)です。

なぜなら、男性は女性に比べて、はるかに「目的思考」が強い生き物だからです。

女性の自由奔放な螺旋型の思考に対し、男性は最短距離で結論へ向かう「直線型」の思考を好みます。

だからこそ、男性が「要点A」から「要点B」へ整然と話を進めたいと思っているときに、女性が「要点C、D、E」を次々と持ち出してしまうと、男性の脳は「目的地から遠ざけられた!」とパニックを起こします。

女性側は楽しく話し合いを深めているつもりでも、男性側からは「目的達成を阻む障害物」とみなされてしまうのです(笑)。

結婚とは、単なるロマンスの終着駅ではありません。それは、異なる宇宙を持った二人の男女が、人生のさまざまな試練を通じてお互いの違いを乗り越えながら、その家庭という学び舎で、お互いを精神的に成熟させ合う「神聖な共同作業」です。

男女は人間として完全に対等ですが、その脳の能力と役割のシステムは驚くほど違います。

大切なのは、男性は男性、女性は女性としての生まれ持った特徴を愛おしく活かしながらも、お互いの性の枠に縛られずに新しいことに挑戦し合うこと。そして何より、「私たちは身体的にも心理的にも、根本的に異なる存在なのだ」という冷厳で優しい前提をしっかりと踏まえた上で、お互いの心に届く言葉を探し続ける努力なのです。